戦い、闘う、蝿
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戦い、闘う、蝿


学長が、社会で活躍を期待する、と訓示を述べ、卒業証書の授与が済むとそれだけで大学生活が終わってしまった。式場となった体育館の入り口で手渡されたプログラム通り。なんのとどこおりもなかったが、二時間が倍に感じられた。


袴[はかま]、琉球衣装、スーツの群れに混じって真っ黒なマントがいる。アニメキャラクターの張り子のお面をかぶっているのもいる。三匹のペンギンまでもがいた。当然、彼らがなにかをやってくれるものだとばかり期待していたのに、従兄弟の結婚披露宴の席で見たような派手なパフォーマンスはもちろん、総勢四百人の卒業生のうち誰一人として、気の効いたセリフすら言わなかった。


もっとも物事には長短がある。パフォーマンスがなかったおかげで退屈ながらも式がスムーズに進んだ。そうでなければ、ただでさえ長い式が、もっと長引くことになる。


みんなと似通った袴を選んでいたおかげで、まわりにうまく溶け込むことができている。スーツを着た女姓は少ない。スーツのほうが一人で着られるし、気も楽だ。前日は、美容院の予約をキャンセルしようかと一晩中悩んだけれど、スーツで出席していたら目立ってしまっただろう。美容室で結ってもらった髪がきつくて、少しばかり頭痛がする。だけどやらなければよかったという後悔はまったくない。


気がかりなのは、大学四年間を通して戦闘蝿を見つけることができなかったことと、やはり院へ進むべきだったのだろうかという迷いだけなのだ。


同級生の中には進学するものもいる。そうすれば最低あと二年間、〈学生〉という身分を手にすることができる。けれども二年間大学院に籍を置いたとして、戦闘蝿を見つけることができるだろうのか。大学入学当時から四年間ずっと探してきたのに、まだ見つからない。それがたったの二年で発見できるとはどうしても思えなかった。

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