地域人INTERVIEW
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地域人INTERVIEW 36号


てふてふP氏の短編は珍妙なものが少なくない。たとえば『おしゃぶり涅槃[ねはん]』や『ゲテモノ缶』がそうだ。前者は女性のふくよかな胸を吸引中のどに詰まらせる男の話だし、後者では母乳ジュースだの愛液ジュースだの、女性へのゆがんだあこがれがつづられている。


いったいどのような思いから氏はそれらの作品を書いたのか。今回は作品の執筆動機についてお聞きした。

文責:西村久美

西村  『おしゃぶり涅槃』『ゲテモノ缶』を拝読しました。両作品の着想はどこからえたのですか?


てふP  読んでいただけました? 悪くないでしょう。自信作なんです。


西村  個人的には阿呆な話だな、と。


てふP  ……俺たちは誰でも多少は阿呆だが、とボオドレールも詠[うた]ってます。


西村  ボオドレールじゃなく氏のお考えを聞かせてください。


てふP  ( o_0 )えっとですね、友人とおしゃべりしているときに思いついた作品なんです。
A、ってやつがいてそいつと話しているとああいう話が出てくるんですね。その場で紙ナプキンにメモして帰宅して速攻で仕上げて。悪くないと思うけどなぁ b( ^_-)-☆


西村  A氏は一般の基準に照らして変態なんでしょうか?


てふP  ていうかそんなに変態ですか? あんなの全然ですよ。


西村  話を進める上での暫定的な記号だと思ってください。原稿に起こすとき書き換えます。


てふP  頼みますよ。誤解されたらこまるから。


Aは変態ってわけでもないです、ていうか、まじめなことしか言わない。彼が言ったことがヒントになるってわけじゃないんです。


どう説明したらいいかなぁ。人によってできる話とできない話って、ありますよね。Aとはエロい話ができるけどBとはできない、とか。


西村  てふてふP氏は相手によって態度を変える人物、と解していいんですか? 二枚舌というか、裏表のある人物だと断定しま……


てふP  いや、そうじゃなくてね全然……まあいいや。


とにかくBと話してるときには出てこない。
ところがAと話してるときには自然とそういうネタが出てくるんです。
きっとオレの潜在意識の中になにかもやもやしたのがあって、それ自分でも気づいてないんだけど、Aと話しているうちに刺激されて表出してくる。


言いかえれば、Aがオレのエロ精神のスイッチを押すってことなんですよ。
ほら、さっき相手によって話題が変わるって言ったでしょ?
人がもっている話題っていくつもいくつもあると思うんだけど、スポーツとかコンピューターのこととかね。
それってスイッチみたいなもんなんですよ、頭の中の。


だから政治のスイッチが押されたら政治の話題になるし、エロのスイッチが押されたらエロい話が出てくる。
西村さんの頭の中にもきっとたくさんスイッチがありますよ。そして特定のスイッチを押せる人間は決まってる。


西村  無責任に人の頭に向かって気味の悪いことを言わないでくれませんか。


てふP  オレには西村さんのスイッチ押せないみたい。


西村  やっぱりてふてふP氏のいわゆるエロスイッチを押すA氏は変態、ということになりませんか。


てふP  違う違う。彼は一言もそういうこと言わないんです。


たとえば彼と映画の話しててもオレが勝手にひらめいて
「おっぱい吸い込んでのどに詰まらせる話、どうだ?」
とか言うわけです。


話題にまったく関係ない、しかもエッチな色合いの話が頭の奥からにじみ出てくる。
エロい話題から思いつくんじゃなくて、やつと話しているだけでオレの頭のどこかが刺激されてアイディアが出てくる、ってことなんです。
わかります?


西村  てふてふP氏が変態、ということでいいですか。


てふP  ノー! いや、そうなのかな?  わかりません。


不思議なもんで、しゃべる相手がAじゃないとなかなか思いつかないんですよ、エロい話。
普段ひょっとしたらオレの頭の中に眠っているのかもしれないけど、自分じゃ探しきれない。


西村  『おしゃぶり涅槃』のような変態的作品以外は、どういうときに着想をえますか?


てふP  よくぞ聞いてくれました!
この話だけで終わったらオレのイメージ傷つくとこだったよ(笑)。
そうねえ、エロいののほか……何か聞きたい作品ある?


西村  長編の『人食い波の不条理』はどうでした?


てふP  あれはねえ、台風の時に海に行ったんですよ、高潮見に。そこから思いつきました。


作品書くときって最初に絵とか写真みたいなイメージが浮かぶんですよ。
絵とか風景が、頭ん中で映画のシーンみたいになるんです。1枚の絵。
その絵を書こうとしてストーリーをこしらえる。
『人食い波』の場合は白い泡立てる高潮。あれに飲み込まれたら痛いだろうなぁって。


これはあくまでたとえ話ですが、干されている女性用下着見たとして、それに感じるものがあれば作品ができる。
そのときはエロい話にはならないです、Aがいないから。
女性を主人公にしたSFかな、たぶん。


西村  つまりA氏がいなければ変態的な話は思いつかない、と。


てふP  そういうことになりますね。


西村  絶交してください。


てふP  はい b( ^_-)-☆  いや、それはまずい (((◎_◎)))

出典:『リアル・ブレイン』
(2004/11/10 超現実出版社)

編集後記/tefutefuP
わたしはこの人にインタビューされるのが怖い。西村さんのストレートな物言いは半端ではない。「歯に衣を着せない」などというレベルではなく、ほとんど日本刀に近い。うかつなことを言うと体ごとすっぱりやられる。
いつでも同じグレーのスーツだし。丁寧にメイクした顔は能面のようでほとんどロボットみたいだ。


そのくせインタビューのあとは必ず食事に誘ってくれたり飲みに連れて行ってくれたりとサービスがいい。
毎回びびりながらついていくのだが、きびしく突っ込まれることもなく自分の体験談を淡々と聞かせくれる。
これがまた面白くて大笑い。
もっとも彼女はにこりともしないので、居心地が多少悪いが……。何を考えているのかわからない人だが嫌いじゃない。
プライベートではどうなんだろう。


今度彼女をモデルに何か書こう。
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